当事務所は、多種多様な生き物との共存、SDGsの一環のとして、NPO法人 日本ウミガメ協議会へ入会しております。今回はそんなウミガメの生態と保護についてお話させてください。
ウミガメは、カメ目ウミガメ上科に分類される構成種の総称で、現生種はウミガメ科とオサガメ科の2科・6属・7種が知られています。日本では、アオウミガメ、アカウミガメ、タイマイの3種がよく見られるウミガメとされており、全世界の暖かい海に生息しています。
ウミガメは4本の足をヒレ状に進化させ、愛らしい見た目と力強い泳ぎが魅力です。また、私たちと同じく肺呼吸を行うため、潜水中の息継ぎのため海面に上がります。なお、驚くことに1時間は息を止めることができるそうです。寿命はアオウミガメやアカウミガメが約70~80年、タイマイが約30~50年程度とされています。
ウミガメとリクガメの違いは、その生息場所、甲羅の形状、四肢の構造などです。ウミガメは海で生活し、甲羅は流線型で平らです。そして、その四肢はヒレ状で泳ぐのに適しています。一方、リクガメは陸生で、甲羅が高く盛り上がっており、四肢は歩行に適した形状をしています。
実は、鹿児島県は全国のアカウミガメの半数以上が上陸するといわれており、日本一のウミガメの上陸産卵地です。そのため、鹿児島県は昭和63年に「鹿児島県ウミガメ保護条例」を制定し、保護パトロール等、各種の保護対策事業も実施されています。中でも吹上浜は、鹿児島県内でも有数のウミガメの産卵地。5月中旬~8月初旬、多くのアカウミガメが産卵のために吹上浜に上陸します。
ウミガメは、一度の産卵で100個以上の卵を産みます。しかし、人間による卵の密猟や天敵により、孵化した子ガメの多くが命を落とすことから、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストにすべてのウミガメ種が掲載されており、絶滅の危機に直面しています。
そして何よりも問題なのは、ウミガメはプラスチックのゴミ、特にビニール袋を自分たちの食物と誤認して食べてしまうことがあります。その結果、ゴミを食べてしまったウミガメは、消化器官の閉塞や栄養不足によって命を落とすことが多くあります。特に、プラスチックのゴミは分解されにくいため、ウミガメの体内に長い時間とどまり、深刻なダメージを与えます。
この問題はウミガメだけでなく、他の海洋生物にも影響を与えています。プラスチック汚染は海洋生態系全体に悪影響を及ぼし、食物連鎖のさまざまな段階で生物に害を及ぼしています。具体的には、プラスチック粒子は魚や甲殻類などの小型生物に摂取され、さらにそれらの生物を捕食する大型生物に蓄積されていきます。
対策として、環境に配慮した製品の使用やプラスチックのリサイクルを促進することが求められています。また、海岸の清掃活動や啓発キャンペーンに参加し、プラスチックゴミの海洋への流出を防ぐ努力が重要です。海洋生物の保護と海洋の綺麗な環境を取り戻すために、私たちは一人ひとりが日常生活でできることから始め、社会全体で取り組むべき課題と言えます。
美しい海を後世に残し、愛らしいウミガメの生態を守りたいものですね。
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(和田直也)