イルカと船乗りの不思議な関係から海の生態系を考える

 (概要)

・イルカと船乗りの意外なつながり

・イルカの生態とその魅力

・昔の船乗りとイルカとの関係

・SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」という意識

・深刻な海洋汚染から海洋生物の未来を守る

 

イルカと船乗りの意外なつながり

私たちにも馴染のある、海の可愛らしい動物“イルカ”。実は鹿児島県の錦江湾ではいろんな場所でイルカを見ることができます。筆者も学生時代に竜ヶ水駅付近で、桜島を背景イルカが海を跳ねている姿を見た時は感動したものです。平成20(2008)年ごろからは南部の身代(しんたい)湾で船からの発見情報が多く、ハセイルカやミナミハンドウイルカを見ることができると言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、現在ではイルカの知性の高さが明らかになってきており、その頭脳は人間の子供の3~6歳ほど。私たちと同じ哺乳類でもあるため、イルカと人間が心を通わせたりお互いを理解することがあっても不思議ではありません。過去に海で遭難した人を救ったという話もあります。実はその昔、イルカは海上の大切な道しるべの役割を果たしていたとされます。昔の船乗りたちは、イルカを見かけると陸地が近いと判断し、長い航海の中で安堵の息を吹き返していたとか。そんなイルカと海洋環境との関係についてみてみましょう。

 

イルカの生態とその魅力

ではここで、イルカの生態について触れてみましょう。イルカは広大な海の世界に住んでいますが、その大部分は海の表面近く、つまり沿岸部に生息しています。なぜなら、そのエリアこそが彼らの食事に適しているからです。魚やイカなどイルカにとっての好物が豊富に存在するのです。そのため、よほど食糧難にならない限りは何千マイルも沖合へ出かけることは少ないでしょう。また、知性に関しても、イルカは他の海の生き物と比べて卓越していることは否定できません。その社会的な絆、複雑なコミュニケーション、問題解決能力は、私たちの社会性と似た部分も多いとされます。一部の研究では、イルカが自分たちの「名前」を持っているとさえ言われるほど。実は、大変情緒あふれる動物なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昔の船乗りとイルカとの関係

昔の船乗りたちは、イルカを見ると陸地が近いと信じていました。しかし、その理由はイルカが陸地近くで生活する習性があるのではなく、豊かな餌がある沿岸域を好むためです。このことから、船乗りたちはイルカを目印として活用したという背景があります。 また、イルカは人間に対して友好的な態度を示すことが多く、船乗りたちにとっても魅力的な生物でした。このため、船乗りたちはイルカに敬意を抱き、時にはコミュニケーションをすることもあったと言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」という意識

SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」とは、失われつつある海の豊かさを守り、海や海洋資源を持続的に利用するために掲げられた目標です。その達成のためには、海洋汚染の防止・削減や、海洋環境と生態系の保全・回復が不可欠とされています。世界経済フォーラムが2016年に発表した報告書によると、海の中には合計1億5000万t以上のプラスチックが存在していると言われています。

 

海深刻な海洋汚染と海洋生物の未来

また、毎年800万t以上が新たに流れ出ていると推定され、2050年には海にいる魚の量を上回ってしまうと予測されています。海洋ごみが増加すると、イルカを始め海洋生物に深刻な影響を及ぼします。プラスチックごみで傷つけられてしまったり、漁で用いる網に絡まり溺れて死んでしまう、といったケースは少なくありません。他にも、海洋環境を悪化させているのは海洋ごみだけではありません。生活排水、工場排水、船やタンカーから漏れた油などによる汚染も原因となっています。いつまでも美しい海を守り、持続的な海洋環境と経済活動を調和させる積極的な取り組みが、今後の重要な課題なのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

イルカはその親しみやすさと知性で、私たち人間に多くの影響を与えてきました。しかし私たちの生産活動が、海洋生態系に深刻な影響を与えているのも事実。特に、プラスチック汚染や化学物質の流出はイルカを含め海洋生態系にダメージを与えている側面も。海の生き物との共生を考える上では、海洋環境の保全・回復と動物への正しい理解が大切なのかもしれません。いつまでもイルカの可愛らしい姿を目にすることができる、そんな美しい海を残し続けていきたいものですね。

(和田直也)

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