海とフネのトリビア(2)

 

こんにちは カトウです。

 前回のトリビア【頭の体操】の答えは「約6メートル」(正確には2πメートル)です。

 ついでに、赤道の長さは、北極から赤道までの子午線の長さが1万キロメートルなのだから赤道長も4万キロメートルと思われがちですが、実際には地球が真球ではなくいびつであるため4万75キロメートルになるということです。

 

 さて、今回の話題は海の上での距離nm(ノーティカルマイル)に続いて、海の上でのスピード(速力)の単位であるkt(ノット)についてです。

速力の次元は[距離/時間]です。日本の陸上交通機関では単位に[km/h] を主用し、気象庁が風力を表す場合には[m/s]を使用します。海と空(船と飛行機)の分野では国際的にkt「1時間あたり移動するノーティカルマイル数」すなわち[nm/h]を使用します。

つまり、1kt=1nm/h=1852m/h=1852m/3600sec=0.5144m/sec となり、1ktとは毎秒約0,5メートルの速さになります。

 気象の分野でも国際的にはktの単位が用いられます。気象庁による台風の定義で「最大風速がおよそ17m/s以上のもの」と中途半端なのは、国際的に「34kt以上」とされているからです。

 ときどき「時速○○ノット」と言っているのを耳にしますが、ノットという単位自体が「時速○○nm」を意味していますので、「時速」の語は不要です。

ちなみに、海上自衛隊では単にスピードのみをいう場合には「速力12kt以下で航行する」のように言い、進行方向も含めるときには「330度12ktの速度で航行する」などと言います。

 

 ではなぜ速力の単位を「ノット(knot)」と称するのでしょうか。

 ノーティカルマイルの概念は大航海時代にその起源を有しますが、速力の単位であるノットも同じ。

船の速さを測るのに、初めのうちは船首から海に棒切れ(log)を投げ込み、船尾を通過するまでの時間を測って速力を割り出していましたが、正確な計測は難しく面倒、暗い夜間には測れないなどの問題がありました。次いで採られた方法が水中凧ともいえる代物で、一定間隔で結び目(ノット)を作った長い細索の先端に凧の働きをする木片をつけ、これを海に投げ込んで一定時間の間に結び目何個分の索が繰り出されるかを数えました。

 このように、結び目の数をもって繰り出された索の長さを判定したので、速力の単位をノットと呼ぶようになったのです。また、測定に棒切れを用いたことから、船の速力を測るものをlogと呼ぶようになり、現代も船の速力計は「ログ」と呼ばれています。

 

 写真は護衛艦のログ(左側)で、電磁式のため後進も8ノットまで計測可能です。右側の風向風速計目盛は [m/sec] と [knot] が併記されています。

 

【頭の体操】

1分間計測用の水中凧型のログで1kt(0.5m/s)単位の速力を計る場合、索には何メートルおきにノットを作っておけばよいでしょうか?

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