9月と言えば、第3月曜日にある「敬老の日」を思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。
国民の祝日で、「多年にわたり社会につくしてきた先人を敬愛し、長寿を祝う日」 として制定されました。
2024年は9月16日になります。
日本は儒教の影響を受けており、物事や人間関係には上下があってそれを尊重することを良しとされています。
そのため日本には「年上を敬う」という教えが強くあり、親をはじめ、
自分よりも年上の人の言うことは聞くべきだ、という思想が一般的になりました。
私の出身である鹿児島県では特に、目上の人への礼儀や敬意の大切さを教えられます。
先輩は後輩を大切にし、後輩は先輩から学ぶ。そんなやり取りが脈々と受け継がれているように思います
歳を重ねた人に限らず、応援してくれる先輩や上司など先人がいてくれるのは、とても心強いことですよね。
経験値・人脈・知恵ある先行く人が、力を貸してくれたり励ましてくれれば
人生において大きなアドバンテージを得られるでしょう。
しかしあまり語られることが無いのが、目下の存在の重要性。
後輩や部下は自分が育ててあげなければいけない、目をかけて場合によっては尻拭いをする必要がある、
と責任感を覚える人もいるかと思います。
しかし後輩の存在の大切さはそれだけではなく、自分の“胆力”に繋がるという面もあるでしょう。
胆力とは物事に動じない精神力の意味ですが、もっと深掘りすると、
守るもののために前に立つ気概とも言えるでしょう。
そういう姿勢を持っていれば、支えてくれる後輩の数もさらに増え、自分の胆力はより鍛えられると言えます。
そして、先輩たちが自分に対してしてくれたことの意味を深く感じ取り、
目上から頂いた恩恵を次の世代へと渡していこうという気持ちになるはずです。
そうした時に初めて、先輩に対しても心から感謝の気持ちを覚えるのではないでしょうか。
どうしても人は目上への恩に目が行きがちですが、
目下の存在によって活かされているということにも思いを馳せてみるのも良いのかもしれません。
そうすれば、中国の古典『四書』にあるように
「上位に在りて下を凌がず。下位に在りて上を援(ひ)かず」
を体現できるはずです。
これは、上の地位にある者は下の者と争わない。
下の者は、上の地位にある者の気を引くようなことばかりすべきでない、という意味です。
これは“中庸”の章にあるフレーズですが、
このことを意識していれば全ての立場の人に感謝できるのではないでしょうか。
(和田直也)
#敬老の日 #鹿児島県 #人間関係